体のふしぶしが痛む関節炎は、年齢や体型、犬種を問わず、どの犬でも起こる可能性がある病気です。
なんと成犬の5頭に1頭がかかっているとも言われます。
関節炎は進行性の病気なので、一度発症すると完治は難しいのですが、早期発見・治療ができれば進行を遅らせたり、症状を緩和することができます。
そこで、この記事では犬の関節炎・関節痛の原因・症状から対処法まですべてお伝えします!
今すぐチェック!関節炎・関節痛の症状リスト
犬は関節に痛みがあると、以下のような症状が出てきます。
ご自身の愛犬のふだんの様子を思い浮かべながら、チェックしてみて下さい。
【関節痛の早期発見のための8つのチェック項目】
- 散歩を嫌がるようになった。散歩で走りたがらず、ゆっくり歩くようになった。
- 階段など段差を上りたがらなくなった。
- 立ち上がるのがつらそうである。
- 足をひきずったり、足を地面につけずに歩くことがある。
- 走ったり、飛び跳ねたりしなくなった。
- 元気がなくなった。または攻撃的になった。
- 尻尾を下げていることが多くなった。
- 寝ている時間が長くなった。または短くなった。
チェックした項目の数が多ければもちろん。
そうでなくても上記のようなワンちゃんの姿が見られた場合、まずは少し関節炎を疑ってみてください。
そのため、発見が難しいこともあるけど・・・よーく見ててほしいワン。
関節痛があるとき、多くの犬は何らかの痛みのサインを発しています。
そのサインにいち早く気付くためには、日頃から愛犬の様子をチェックしておくことが大切です。
これらの症状が見られたら、早めに動物病院に相談しましょう。
これは「早ければ早いほど良い」です!
関節炎にかかりやすい犬種
実は「犬種」によって関節炎にかかりやすさは違うと言われているんだワン。
関節炎になりやすいと言われている犬種には、主にこれらが挙げられるんだワン。
【関節炎になりやすい犬種】
- ポメラニアン、パピヨン、チワワなどの小型犬
- ミニチュアダックスフンド、コーギーなどの胴長犬
- ラブラドール・レトリバー
- ゴールデン・レトリバー
- ボーダーコリー
小型犬は生まれつき太ももの骨の溝が浅かったり、靭帯が弱い子が多く、膝を脱臼しやす傾向があります。
大型犬はその体重を支えるために関節への負担がかかり、関節を痛めがちです。
特にラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバーは、遺伝的に股関節に病気が出やすいと言われています。
発育期に悪化するおそれもあるので、注意が必要です。
犬の関節炎・関節痛の原因と種類
そもそも関節炎・関節痛とは、骨同士の接合部分を保護しなめらかに動かす働きを持つ軟骨が、摩耗・変形することで起こる、炎症や痛みのことを指します。
その原因としては、さまざまなケースが考えられますが、ザクッとまとめてみるとこのようになります。
原因 | 説明 |
加齢 | 年齢とともに軟骨がすり減ることで、関節に炎症が起こりやすくなる |
肥満 | 体重増加により関節に負担がかかり、ダメージが与えられる |
運動不足 | 運動量が少ないと、関節を守る筋力が衰え、骨も脆くなる |
先天的(遺伝性)な障害 | 生まれつきの骨の変形や骨格の違いによって、関節に負荷がかかりやすいことがある |
外傷性の病気 | 怪我や交通事故で関節を傷めたり、傷口から病原菌が入り込むことで炎症が起こる |
免疫機能の異常 | 免疫機能の誤作動により、関節をつくる組織が破壊されてしまう |
犬の関節炎・関節痛の原因①加齢
まずは加齢(老化現象)によるもの。
ペットも高齢化がすすみ、現在もっとも増えているケースです。
年齢とともに軟骨がすり減ることで、関節に炎症が起こりやすくなります。
犬の関節炎・関節痛の原因②肥満
肥満も大きな原因となります。
人間と同じ食べ物を与えるとカロリーオーバーになりやすく、肥満になってしまう犬も。
体重増加がもとで関節にかかる負担は想像以上に大きいので、飼い主さんがきちんと管理してあげましょう。
犬の関節炎・関節痛の原因③運動不足
次に、運動不足です。
運動量が少ないと、関節を守る筋力が衰えて足腰が弱るとともに、骨も脆くなってしまいます。
あまり激しい運動は逆効果ですが、適度な運動は強い体づくりに必要です。
犬の関節炎・関節痛の原因④先天的(遺伝性)な障害
先天的(遺伝性)な障害が原因となる場合もあります。
生まれつき骨が変形していたり、筋肉をうまく動かせない、といったケースです。
また犬種によっては、先天的に発症しやすい関節の病気があります。
これが引き金となり、関節炎につながることも多々あるのです。
その代表的なものとして、
- 膝蓋骨脱臼(パテラ):10kg以下の小型犬(トイプードル、チワワなど)に多い
- 変形性脊椎症:胴長の犬(ダックスフント、コーギーなど)に多い
- 股関節形成不全症:大型〜超大型犬(シェパード、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーなど)に多い
などが挙げられます。
犬の関節炎・関節痛の原因⑤外傷性の病気
怪我など外傷から起こる他の病気が、関節の慢性的な痛みにつながることもあります。
外傷性のものとしては、
- 股関節脱臼:落下や急な方向転換など、関節への過度の負担が原因
- 感染性関節炎:外傷の傷口から細菌やウイルスが関節に侵入し、起こる
などが挙げられます。
犬の関節炎・関節痛の原因⑥免疫機能の異常
ほかに、免疫機能の異常によって起こる、免疫介在性多発性関節炎(リウマチ性関節炎)というものもあります。