なんだか最近元気がないな、食欲がないな…と思ってしばらくするとまた元気に。
良かった、治って!と安心していませんか?
そうしてしばらくするとまた元気がない…
でも前も何もせずに治ったから心配ないか!
なんて思っていませんか?
その症状、実は病気の早期発見を逃しているかもしれません。
今回は、犬の「アジソン病」についてお話します。
あまり聞きなれない病名かもしれませんが、動物病院でこのアジソン病の治療を行う事は非常に多く、急に症状が悪化する場合があります。
ぜひ参考にしてみて下さいね。
アジソン病とは
犬のアジソン病とはどのような病気なのでしょうか。
犬には、腎臓の上にソラマメのような大きさの副腎と呼ばれる臓器が左右2つあり、そこから身体に非常に重要なホルモンを分泌しています。
この副腎から分泌されるホルモンが、何らかの原因で分泌が少なくなる・分泌しなくなると体に非常に大きなダメージを受けます。 その状態がアジソン病と呼ばれます。
反対に副腎から分泌されるホルモンが、何らかの原因で分泌が非常に多くなりすぎてしまう病気をクッシング病と言います。
こちらの方が聞きなれている病名かもしれませんね。
アジソン病とクッシング病は、症状は違いますが、原因となる臓器は同じで「副腎」に関するホルモンの分泌量です。
アジソン病の症状8つ
では、犬がアジソン病にかかるとどんな症状が出るのでしょうか。
- 元気・食欲がなくなる
- お水をよく飲む
- 薄いおしっこが良く出る
- 痩せてくる
- 下痢・嘔吐
- 徐脈になる
- 運動をしたがらない
- 眠っている時間が多くなる
これだけ見ると、老化現象のように感じられますよね。
また、犬のアジソン病は、症状がひどくなったり良くなったりを繰り返すために、飼い主さんが勝手に「治った」と勘違いしがちです。
ストレスが病気の進行を非常に早めるとも言われていて、引っ越しなどの急激な環境の変化や、子供が生まれて自分にかまってもらえないなどの急なストレスが加わった場合、「アジソンクリーゼ」という、急性アジソン病にかかり、命に関わる状態になることもあります。
いくつか症状が当てはまったら、ぜひ動物病院で血液検査を行ってください。
血液検査では、低ナトリウム・高カリウムなど、体に必要なイオンバランスの乱れが発見できるはずです。
また、ACTH刺激試験も行う場合があります。
これは注射によって「ホルモンを出しなさい」と命令する物質を体に入れた後、しばらくして体内にホルモンが出ているかどうかを調べます。
ホルモンが出ていなければ、アジソン病になっている可能性があります。
獣医さんと相談して、治療方法を決めて行きましょう。
アジソン病の治療
では、アジソン病になってしまった場合、治療方法はあるのでしょうか。
一般的には、副腎から不足してしまったホルモンを飲み薬で補います。
副腎そのものを治す薬ではありませんので、この薬は一生飲み続ける必要があります。
副腎皮質から分泌されるホルモンは主に2つあります。
- 糖質コルチコイド(主にコルチゾール)
- 鉱質コルチコイド(主にアルドステロン)
糖質コルチコイドが、血液中の糖の濃度を調節してくれます。
また、有名な働きが抗炎症作用です。
よく動物病院でステロイドを処方される場合があると思いますが、このステロイドは実は体内で作られたコルチゾールの事です。
ステロイドは炎症を起こしている原因には作用しませんが、炎症そのものを抑えてくれる非常に助かるお薬です。
ただ、副作用が強いので、用法・容量は守らなければいけません。
使い方を間違えなければ非常に良いお薬なのですよ。
鉱質コルチコイドが体内のイオンバランスを整えてくれます。
ナトリウムイオンや水の再吸収、カリウムイオン・水素イオンの排出に役立ちます。
アジソン病は、
- 糖質コルチコイド・鉱質コルチコイド両方が不足する
- 糖質コルチコイドだけの分泌減少
- 鉱質コルチコイドだけの分泌減少
上記の3つが考えられます。
糖質コルチコイドが不足している場合に一般的なお薬が「コルチゾール」。
鉱質コルチコイドが不足している場合に一般的なお薬が「プレドニゾロン」。
その他にもたくさんのお薬の選択肢があります。
動物病院によって異なりますので、獣医師とよく相談してくださいね。
アジソン病の寿命
アジソン病にかかってしまった時に、気になるのが寿命だと思います。
できればずっと長生きしてほしいものですよね。
アジソン病の治療は、体内で不足したホルモンを飲み薬で補う方法です。
昨日までぐったりしていた犬が、薬を飲みだした途端に元気になったという報告もあるほど!
とても効果がある飲み薬で、きちんと治療すれば、その犬の寿命を全うできますよ。
ただし、治療薬は一生飲み続ける必要がありますので、元気になったからと言って勝手に薬をやめてもいけませんし、元気がないからと言って大量に与えても逆効果です。
きちんと用法・容量を守って薬を使用し、わんちゃんとずっと一緒にいる生活にしたいですよね。
最後に
私が動物病院で働いていた時、アジソン病と診断されるのは、急激に悪くなった状態がほとんどでした。
飼い主さんに話を聞くと、良くなったり悪くなったりを繰り返していたと言われることが多いように感じました。
いったん壊れてしまった副腎は、二度と元には戻りません。
寿命を全うするためには、病気の早期発見・早期治療がとても重要です。
少しでもおかしいな、何か変だなと思ったら動物病院に相談する癖をつけておくといいかもしれません。
長い記事を読んでくださってありがとうございました。
あなたとその隣にいるわんちゃんがもっともっと両想いで幸せになりますよう、願っています!