わんちゃんは人間と違って、とっても吐きやすい動物。
お腹が空きすぎただけでも、食べ過ぎても吐いてしまうというのはご存知ですよね。
ゲポっと吐いていて、あぁ、またか…なんて思うこともあるはずです。
でも、ちょっと待ってください!
吐いた時に、急に元気が無くなったりしませんでしたか?
吐いた後、何事もなくケロっとしている場合は様子を見て大丈夫ですが、ぐったりして嘔吐している場合はすぐに動物病院に連れて行かなくては手遅れになる場合もあるのです!
元気がなくて、ぐったりしている、嘔吐する、そんな場合は病気が隠れているサインかもしれません。
今回は、わんちゃんに元気がなく、ぐったりして嘔吐する場合の病気や対処法をお伝えします。
大切なわんちゃんからの「苦しいよ~」のサイン、見逃さないでくださいね!
読みたい所へジャンプ
嘔吐の後、元気はある?ぐったりしている?

嘔吐そのものは、わんちゃんにはよくある行為です。
- お腹が空きすぎている
- ご飯を多く食べ過ぎてしまった
- 胃の中に異物があって自ら吐き出した
- 乗り物に酔った
- ストレスがある場所に行った
こんな時は、嘔吐しますが、一度きりの事が多く、吐いた後はケロっと元気にしていることがほとんど。
様子をみても大丈夫だと言えるでしょう。
しかし、
- 感染病にかかっている
- 消化器の異常
- 内臓の異常
- 自ら吐けないような異物を飲み込んだ
こんな時は、嘔吐の後、ぐったりしていることが多いです。
また、嘔吐も一度で治まる事は少なく、何度も何度も嘔吐が続きます。
ぐったりが続く場合は、すぐに動物病院に連れて行くことをおすすめします。
見た目でわかる!2つの「吐く」

わんちゃんが嘔吐した!
その際に、食べた物をじっくり観察すると、実は違いが2つあります。
この違いを見るだけで、どこに異常があるのか判別する事も可能です。
一つは「嘔吐」と呼ばれるもの。
もう一つは「吐き出し」と呼ばれるもの。
わんちゃんがが吐いた物、消化されていますか?全く消化されていませんか?
医学的に、吐いたものが消化されている場合は「嘔吐」と呼び、吐いたものが消化されていない場合は「吐き出し」と呼んでいます。
嘔吐の場合は、食べたものが胃や胃に近い小腸まで達したけれども、何らかの異常があったために、外へ吐き出された行為です。
つまり、嘔吐は胃や腸管まで食べ物が行ったけれども、胃や腸が何らかの異常をきたしていて、消化された食べ物が外へと吐き出されたと考えられます。
また、嘔吐は下を向いて吐く場合が多いです。
吐き出しの場合、吐いたものが消化されていません。
と、いう事は、食べたものが胃や胃に近い小腸まで達することなく、口へと逆流した行為です。
つまり、吐き出しは食道に異常があることが考えられます。
また、吐き出しは、力強く前に飛ばすように吐く場合が多いです。
嘔吐された物を再び食べるわんちゃんはいませんが、吐き出しによって出されたものは未消化なので、もう一度食べようとします。
ぐったりして嘔吐する場合に疑う病気10選と対処法

吐いた後にぐったりしていると、飼い主さんも心配になってしまいますよね。
では、ぐったりして嘔吐する場合は、どんな病気が疑われるのでしょうか。
ぐったりして嘔吐する場合の疑われる病気10選とその対処法をお伝えします。
- 胃捻転
- 膵炎
- 肝炎
- 腸炎
- パルボウイルス感染症
- 中毒症状
- 異物
- 腎臓病
- 子宮蓄膿症
- 脳症
胃捻転
胃がねじれてひっくり返ってしまい、食べ物を消化することも受け付ける事もできなくなる病気です。
早急に外科手術をしないと助かりません。
胃捻転を起こさないようにするためには、一気食いさせない食事が大切だと言われています。
がつがつ食べてしまう癖のあるわんちゃんには、少しずつ与えましょう。
また、食べた後にすぐ運動させる行為は、胃捻転にかかってしまう確率が高くなりますので注意が必要です。
膵炎
急性膵炎の場合、膵液が何らかの原因で過剰に分泌され、その膵液が自分の膵臓を溶かしてしまいます。
肥満や脂肪分が多いご飯を食べているわんちゃんに多いことから、予防のために食生活を見直してもいいかもしれません。
肝炎
肝臓で分解するはずだった体の毒物が分解されずに体中を回り、様々な病気を引き起こす急性肝炎があります。
細菌やウイルス・中毒などが原因になりますので、抗生物質や肝機能を改善させるお薬を飲ませて対処します。
腸炎
腸が詰まってしまう腸閉塞や、細菌・ウイルス・寄生虫が原因となる急性腸炎があります。
腸閉塞の場合は、開腹手術になることが多く、急性腸炎はお薬の投与で治療されます。
急性腸炎の場合は嘔吐の他に下痢も併発し、水分不足になる可能性が非常に高いので、脱水症状には十分気を付けて下さい。
寄生虫が原因での腸炎は、寄生虫を退治する虫下しのお薬を定期的に飲む(あるいはスポットタイプのお薬を垂らす)ことで防ぐことができますね。
パルボウイルス感染症
子犬にかかることが多く、激しい下痢や血便を伴って、何度も嘔吐します。
パルボウイルス感染症に感染してしまっても、有効な薬剤はなく、対処療法をするしかありません。
パルボウイルス感染症の予防には、ワクチン接種が重要です。
中毒症状
痙攣(けいれん)を伴いながら嘔吐する場合、わんちゃんにとっての異物を食べてしまった可能性があります。
特に人間と暮らすうえで気を付けたいのがタバコ。
もし、お家の中にタバコを吸う方がいたら気を付けて下さい!
小型犬では、3本食べるだけで致死量のニコチン中毒になってしまいますよ。
タバコを食べてしまったら、1分1秒を争う深刻な事態です!
いち早く動物病院に行って、処置をしてもらってくださいね。
異物
何度も吐き出そうとする行為はするものの、何も出てこない。
そんな場合は、胃や腸に異物が詰まって消化されなくなっているかもしれません。
動物病院に運ばれてくるわんちゃんの中で、最も多い異物はおもちゃです。
飼い主さんと遊んでいる時に大興奮してそのままゴクリと飲み込む場合、飼い主さんがいない時に自分で遊んでいてゴクリとしたり。
飼い主さんがいないところで誤飲をした場合、目の前でおもちゃを飲み込んでいる場面を見ていないので、どうしても発見が遅れがちです。
普段から、どこに何のおもちゃがあるのか、また、誤飲されるような小さなおもちゃはできるだけ置かないようにしましょう。
腎臓病
体の中に溜まった毒素を出してくれる臓器の腎臓の働きが悪くなるので、体の中のバランスが狂ってしまって何度も吐くようになります。
腎臓の働きが悪くなる病気の中に、腎盂腎炎や尿毒症、急性腎不全などがあります。
腎臓の病気は、ある程度進行しないとわからない病気で、症状が出た場合は70%以上が病気に侵されていることが多いです。
ぐったりして嘔吐する前にも、おしっこの回数が多くなった、お水をよく飲むようになったなど、病気の前兆が現れます。
少しでもわんちゃんの変化に気づいたら、健康診断がてら動物病院に行って相談してみてください。
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症という、子宮の内部に膿が溜まってしまう病気です。
子宮は女の子しかもっていないので、女の子のわんちゃんの特有の病気です。
子宮の中に大腸菌などの菌が入り込んでしまって繁殖し、菌が作り出す有害物質でわんちゃんの体が蝕まれます。
陰部から膿のような物が流れていたり、発熱などもみられるほか、元気・食欲もなくぐったりします。
子供を産ませる予定がない女の子のわんちゃんなら、早めに避妊手術をしてあげる事で、子宮蓄膿症にかかるリスクがなくなりますよ。
脳症
交通事故などで頭部を強打すると、脳内出血や脳震盪をおこしてしまい、吐き気が続く場合があります。
交通事故のその他の症状では、内臓から出血をしていたり、骨が折れていたりする場合もありますので、ぐったりして痛がっていることがほとんどです。
肝性脳症といって、肝臓の機能が働かなくなる病気もあります。
肝臓で無毒化されるべき毒素が脳内に行き、脳内に毒素が溜まっていきます。
嘔吐が続いたり、ひどくなると痙攣や失明、昏睡状態に陥ることもあります。
肝臓の機能は、血液検査で肝臓の数値をチェックすることで、早期発見が可能です。
1年に1回は動物病院の健康診断を受けておくと安心ですね。
いかがでしたか?
わんちゃんが元気がなく、ぐったりして嘔吐する場合の病気・対処法が分かって頂けましたでしょうか。
また、動物病院にはクリスマスの時期になると、異物を飲み込んで運ばれてくるわんちゃんが多くなります。
なぜだかわかりますか?
原因は、鶏の骨。
骨付きチキンをそのままわんちゃんにあげる方もいらっしゃるかもしれませんが、それはやめてください!
鶏の骨は歯で噛んでみても鋭く割れることが多く、そのまま丸のみすると鋭くなった部分が内臓を傷つけたりそのまま刺さってしまったりする事があります。
その際は、全身麻酔をかけてお腹を手術で切り裂いて外科的に骨を取り出しますので、わんちゃんにとっても痛くて辛い思いをさせてしまいます。
楽しいクリスマスを過ごすためには、骨は取り除いて美味しいお肉だけをあげてくださいね♪
長い記事を読んでくださってありがとうございました。
あなたとその隣にいるわんちゃんがもっともっと両想いで幸せになりますよう、願っています!