犬を飼っている人にとっては悩みのタネの誤飲。
今回は、犬の誤飲には実際にどのようなものが多いのか、その対処方とともに見ていきましょう。
誤飲しやすいものランキング
実際に犬たちはどのようなものを誤って食べてしまっているのでしょうか?
誤飲で夜間病院を受診したものワースト5
2位 チョコレート
3位 鶏の骨
4位 つまようじ、竹串
5位 ネギ類
このデータは夜間病院に来院したデータですので、飼い主さんが緊急を要すると判断したランキングと言えるでしょう。
チョコレートやネギ類などは、犬が中毒症状を起こすと知っている飼い主さんがほとんどではないでしょうか。
つまようじなどの先のとがったものや人体薬なども、直観的に危険だと判断できるものですね。
鶏の骨に関しては、後で改めてお話ししますね。
誤飲件数の多いものワースト10
では、単純に「誤飲件数が多いもの」にはどんなものがあるのでしょうか?
これに関してはペット保険でおなじみのアニコムさんが獣医師にアンケートを取ったデータがあります。
アンケート結果によると、誤飲事例が多いものワースト10は以下のようになっています。
1位 ひも
2位 ヒトの医薬品
3位 果物や梅干しの種
4位 石や砂
5位 靴下やタオル、雑巾などの布類
6位 チョコレート
7位 ボール
8位 竹串
9位 プラスチック
10位 犬用ガム
いかかでしょうか?
1位はなんと「ひも」です。
そして、靴下やタオルなどの布製品も多いんですね。
死亡事例の多いものワースト10
次に同じくアニコムさんのデータで、死亡事例の多いものを見てみましょう。
2位 不凍液
3位 ひも
4位 除草剤
5位 ナメクジ駆除剤
6位 ヒトの医薬品
7位 靴下やタオル、雑巾などの布類
8位 観賞用のユリ
9位 竹串
10位 チョコレート
今までのランキングとはガラッと内容が変わりましたね。
化学薬品などは件数はそれほど多くないものの、いざ誤飲が起こると命の危険があるということがわかります。
観賞用のユリは、中毒症状が起こることを知らない飼い主さんも多いのではないでしょうか?
これ以外にも本当にたくさんの事例があります。
身近なものではボール、犬用ガム、トウモロコシの芯、プラスチックやビニール、硬貨なども死亡事例があるそうです。
中毒症状を起こすものでは、ネギ類、たばこ、観葉植物、肥料、キシリトール、それから灯油や電池なども挙げられています。
鶏の骨って危険なの?
「鶏の骨は胃に刺さって危ないから、犬に食べさせてはいけない。」
これって、以前は結構普通に言われていたことですよね。
今でもそう思っている飼い主さんも多いんじゃないでしょうか?
でも、これはちょっと誤解なんですよ。
最近の獣医さんは、「鶏の骨は消化できるので、よほど大量に食べなければ大丈夫。」という意見が主流になっています。
実際にフライドチキンを10本食べてしまった犬が、鶏の骨を全部消化して無事だったという事例もあるそうです。
ただこの場合は、骨よりも揚げ物を大量に食べたことの方が問題だったようですが。
そうは言っても、食べたときの状況によっては獣医さんの判断が必要な場合もありますので、何か症状が出たり心配であれば病院に連絡しましょう。
ちなみに鶏以外の、例えば豚の骨の場合は鶏よりも消化しずらいという意見もあるようですので、その場合も獣医さんの判断に従ってくださいね。
犬が誤飲した時の対処法
実際に犬が誤飲をしてしまったとき、どのように対処したらよいのでしょうか?
基本的には病院に連絡を!
犬が誤飲をしてしまったとき、基本的にはすぐにかかりつけの病院に連絡しましょう。
自己判断で対処して、結果的に大切なワンちゃんの命を危険にさらしてしまう場合もあるんです。
また逆に、特に症状が出ていないからといって放っておくと、後で忘れた頃に飲み込んだものが悪さをする場合もあります。
病院に連絡するときは、飲み込んだものは何か、その大きさや量、いつ頃飲み込んだかなどをなるべく正確に伝えるようにしましょう。
病院に相談したら、「とりあえず様子をみて下さい」と言われることもあるかもしれません。
それでもやはり、一度は相談して下さいね。
窒息の危険があるときは気道の確保を!
飼い主さんが自分で対処しなければならないとしたら、一刻を争うケースです。
具体的には、異物が気道に詰まって窒息の危険があるときなどですね
この場合、異物を取り出したり吐き出させたりして、気道を確保することが必要になります。
犬の口を開けてみて、異物が見える位置にあるなら、ピンセットなどで慎重に取り除いてあげます。
硬くて取り出しにくいものの場合は押し出す必要があります。
小型犬なら逆さにして足を持ってぶら下げて、背中をたたくようにします。
大型犬は横に寝かせて肋骨の下をグッと押すようにします。
すでに窒息が起きている場合は、無理に吐き出させないで押し込んでしまった方が良い場合もあります。
細長い棒などで慎重にのどの奥にに押し込むようにします。
オキシドールまたはトラネキサム酸を薄めたものを飲ませる
大量のチョコレートなどの有害な食品や液体などを飲み込んだ場合はこの方法が使えます。
大体飲み込んでから1時間以内なら効果があります。
飲ませる量は、オキシドールを3倍程度に薄めたものを体重1kgあたり1~2mlほどです。
病院によってはオキシドールではなくトラネキサム酸を使用している場合もあります。
かかりつけの病院がトラネキサム酸使用している場合は、その指示に従ってくださいね。
また、食塩水を飲ませて吐き出させるという方法もありますが、これはあまりおすすめしません。
大量の食塩は犬の体の負担になりますので、できればオキシドールかトラネキサム酸を使ってください。
この方法はあくまで応急処置です。
オキシドールを飲ませても吐き出さないからと言ってそれ以上飲ませることはせず、そこからは獣医さんの指示に従ってくださいね。
それと、飲み込んだのが人間用の薬や薬品(洗剤、殺虫剤、除草剤など)などの場合は、この方法は使わないで下さいね。
薬品などは吐き出させること自体が危険なので、その場合は病院で診てもらいましょう。
好奇心が旺盛な犬は本当に何でも口に入れてしまいますよね。
中毒症状が出るものなどは日ごろから気を付けている人も多いと思います。
ひもや布製品、プラスチックやつまようじなど、日常にありふれたものの方が、かえって危険なのかもしれませんね。