朝起きると、挨拶がわりに愛犬が顔をペロッ。
休みの日など、なかなか私たちが起きない日には、「起きてよー」とペロッ。
ペットを飼っているお家だとごく普通の光景かもしれません。
ただ、ワンコに口を舐められることによって感染する恐れのある病気も、結構あるんです。
中にはあんな病気も…
ここでは、犬が人の口元を舐める意味と、口を舐めることの危険性についてお話しします。
犬が人の口を舐める理由
犬が飼い主さんや大好きな人の口をペロペロしてしまうことは、よくありますよね。
犬が人の口を舐める理由には、どんなことがあるのでしょうか?
どうやらその理由には、犬の太古の祖先からの習慣にも関係しているようです。
上位の者に対する親愛・従順を示す挨拶
犬にとても近いオオカミは、自分よりも上位のオオカミに対して、口を舐めて従順を示します。
犬が人の顔を舐めるのも昔の名残で、飼い主さんを保護者として認めていることの表れだと言われています。
母親(とみなしている存在)に対して食べ物をねだる
犬の祖先たちは、子犬が母犬の口を舐めることで母犬が食べ物を吐き出して与えていた、と言われています。
その名残で、母親代わりの飼い主さんの口元を舐めておねだりしているのでしょう。
なるほど!
飼い主さんとしてはちょっと嬉しい行動の意味ですよね!
自分を信頼してくれているんだ、お母さんと思っているんだ、と思わずにやけてしまいます(笑)
強迫性障害の症状の一例としても
一心不乱に、何かに取り憑かれたように舐め続けている場合、もしかしたら強迫性障害の可能性もあります。
強迫性障害の場合、何らかの強い不安を感じていて、それを払拭するために意味もなく人を舐め続けてしまいます。
舐めるのをやめるとまた不安になるので、やめられなくなるそうです。
人の顔や口を舐めるというのはほんの一例で、他にも体の一箇所を舐め続けたり手足を噛み続けたり、過度な反復行動をしてしまいます。
こういったケースは、獣医さんへの相談とともに、愛犬の生活環境を見直して不安要素を取り除いてあげることが大切です。
では、犬が人の口を舐めることでの危険性って、何なのでしょう?
犬が人の口を舐めることにはこんな危険が!
犬も人も、口の中には何億個もの細菌が住んでいます。
犬の口の中には、人間が未だ免疫を持っていないような菌も多く含まれているため、注意が必要なのです。
人畜共通感染症に感染する恐れ
「同一の病原体により、ヒトとヒト以外の脊椎動物の双方で罹患する感染症」(引用:国立感染症研究所)を人畜共通感染症(ズーノーシス)と呼び、犬が人の口を舐めるという行為はまさに人畜共通感染症の感染経路とも言えます。
犬が人の口を舐めることによって起こる可能性のある感染症の一例を見てみましょう。
カプノサイトファーガ・カニモルサス
犬や猫の口腔内に常在しているカプノサイトファーガ・カニモルサスという細菌による感染症です。
主に犬、猫による咬傷、掻傷から人への感染がほとんどですが、免疫低下している状態で傷のある部分を舐められたりすると感染することもあります。
発熱、倦怠感、腹痛、吐き気、頭痛などの症状が見られます。
発症率自体は低いのですが、重症化すると死に至ることもあります。
パスツレラ症
犬、猫の多くが口腔内にこの病原菌を持っていて、犬の保菌率は75%とも言われています。
犬、猫による咬傷、掻傷からの人への感染が多く、傷の周りの激痛・腫れ・化膿、鼻や口から感染した場合は副鼻腔炎や気管支炎になることもあります。
治療は、ほとんどの場合は抗生物質で1週間ほどで治離ますが、重症化して亡くなったケースもあるようです。
イヌ回虫病
犬や猫のお腹の中にいる寄生虫の卵を、犬が飼い主さんの口を舐めることで飼い主さんが摂取してしまって起こります。
発熱・肺炎・肝炎・皮膚炎・角膜炎・失明などを引き起こします。
レプトスピラ症
犬の腎臓で繁殖する菌で、人に感染すると、悪寒・発熱・倦怠感・筋肉痛・結膜炎などの症状を引き起こします。
重症化すると、尿蛋白・出血・黄疸などの症状が出て、最悪の場合は死に至ります。
Q熱
「コクシエラ菌」に感染した犬から経口感染する可能性のある病気で、この病原体は非常に強い感染力を持ちます。
インフルエンザのような発熱や倦怠感等の症状が起こり、長期にわたって症状が続く可能性があります。
また、1度感染して発症・完治すれば免疫がつき再発はしないと言われています。
これらはほんの一例ですが、重症化して死に至るような恐ろしい病気もあるんですね。。。
そして最近ではこんな病気との関係もわかってきました。
犬が人の口を舐めることで、胃がんのリスクも?!
胃がんの原因としてピロリ菌がよく知られています。
しかしピロリ菌以外にも、「ヘリコバクター・ハイルマニイ」という細菌が胃がんと関係していることがわかってきています。
ピロリ菌を除菌しても、ヘリコバクター・ハイルマニイに感染してしまっていれば胃がんのリスクは高く、また、ピロリ菌よりも高い感染率だとも言われています。
そしてヘリコバクター・ハイルマニイは人畜共通感染症菌で、犬の唾液からも感染するのです!
ペットからの感染症を防ぐための5つのポイント
最近では室内飼いのペットの急増や濃厚な接触により、ペット由来の感染症が増加傾向にあるといいます。
こういった感染症にかからないためにも、日常生活で次の点を注意しましょう。
- 節度のある接触
- 接触後の手洗い
- 排泄物は速やかに適切に処理
- 飼育環境を清潔に保つ
- 傷を負った場合は洗浄・消毒して医師による診察を受ける
私たち飼い主がこういった感染症で大変なことになったら、ワンコ達の世話をちゃんとできなくなってしまいます。
そういった意味で我が子を悲しませないことも、飼い主の責任ですよね…と、自分に言い聞かせている私です。