ワンちゃんの食欲がなくなったら、とっても心配ですよね?
でも、逆に食欲がありすぎる場合はどうでしょう?
ごはんをよく食べてくれるのは嬉しいですが、あまりに食欲がありすぎるのは何か理由があるのでしょうか?
この記事では、「犬の食欲が異常にありすぎる」という症状について、お話ししていきたいと思います。
Contents
病気以外が原因の場合
まずは病気以外の原因からお話ししていきますね。
ただの暴飲暴食の場合(犬のわがまま)
犬も人間と同じように食欲旺盛な子もいます。
与えたフードをあっという間に平らげ、人間の食べ物も欲しがり、お皿をひっくり返してお代わりを要求するという子もいます。
この場合、しつけである程度コントロールしてあげなければいけません。
犬が欲しがるからと言って食べ物をたくさんあげてしまうと肥満の原因になります。
それだけならまだしも、「要求すれば聞いてもらえる」と思ってどんどんわがままになっていってしまいます。
わがまま放題にさせていると、いつか周りと何かトラブルを起こしてしまうこともあるかもしれません。
それから、散歩中の拾い食いにも注意が必要です。
犬が食べてはいけないものを食べてしまうことを「誤飲」と言います。
誤飲による中毒症状は犬の命に係わる重大な問題ですので、拾い食いをしないようにきちんとしつけをしておきましょう。
ワンちゃんの健康と安全のため、わがままによる暴飲暴食は心を鬼にしてやめさせてくださいね。
欲しがってもあげない、フードの適正量を守ることなどを徹底しましょう。
フードを見直してみよう!
フードを標準量以上に与えてもお腹を空かせている場合は、もしかしたらフードが合っていないのかもしれません。
ドッグフードにはいろいろな種類がありますが、皆さんはその成分表示を確認していますか?
実は、犬にとって特に必要な栄養素はタンパク質なんです。
犬は、人の4倍以上のたんぱく質を必要とすると言われています。
タンパク質が足りていないと、「もっと栄養を取らなければ」と体が判断して、フードをかなりたくさん食べてしまうことがあります。
質より量の低価格フードなどを与えている場合は、タンパク質が足りていないかもしれません。
また、脂肪分の少ないフードは腹持ちが悪くてすぐにお腹がすいてしまうことも考えられます。
犬の肥満防止にと低カロリーのフードを与えている場合は、脂肪分についても見直してみると良いかもしれません。
タンパク質が不足すると、免疫力が弱くなったり皮膚の感染症にかかりやすくなったりします。
ワンちゃんの健康のためにも、フード選びは重要なんですね。
犬種別や年齢別のフードなど様々なものが販売されていますので、ワンちゃんに合ったフードを与えるようにしましょう。
病気が疑われるケース
食欲が異常にある場合に疑われるのは主に内分泌系の病気、つまりホルモンの異常ですね。
考えられる病気をいくつか例にとってお話ししていきましょう。
糖尿病
最近は犬の寿命が延びてきて、糖尿病にかかるワンちゃんが増えています。
糖尿病の発症年齢は平均8歳くらいで、避妊していないメスの割合が多いです。
初期症状としては、水を多く飲むようになり、尿の回数や量が増えるのが特徴です。
この「多飲多尿」という症状で最も多い病気が糖尿病なんです。
食欲の増進も見られることがありますが、気づかずに放っておくと、逆に食欲がなくなってきます。
糖尿病予防には、まずは肥満を予防することが大切です。
人間の場合と同じように、適度な運動と食事管理が重要なんですね。
それから、歯周病も関係していると言われています。
歯周病が見つかったら放っておかず、早めに歯石取りをして治療をしておきましょう。
メスの場合は、糖尿傾向があれば避妊手術を考えた方が良いかもしれません。
ちなみに糖尿病にかかりやすい犬種には、トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフント、ミニチュア・シュナウザー、ビーグルなどが挙げられます。
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることで様々な異常が起こる病気で、高齢の犬でよく起こります。
糖尿病の次に多い犬の内分泌疾患で、糖尿病を併発することもあります。
初期症状は、水をたくさん飲む、尿の回数や量が増えるなどで、糖尿病と区別がつきにくいです。
その他に食欲が増える、お腹が出る、左右対称の脱毛、安静時の過呼吸など様々で、症例によって症状の出方も異なります。
クッシング症候群は予防ができない病気ですので、早期発見が重要になります。
発症しやすい犬種は、プードル、ダックスフント、ビーグル、ポメラニアン、ボクサー、ボストンテリアなどですが、他の犬種でも発症します。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が足りなくなる病気で、中齢以上の中型犬や大型犬に多い病気です。
あまり目立たない病気で、すぐには気づかないことも多いです。
また、糖尿病やクッシング症候群の陰に隠れて発症していることも多いです。
初期症状としては、何となく元気がない、運動を嫌がる、寒がりになる、体重が増えるなどがあります。
症状が進んでいくと、脱毛や皮膚のトラブルなどが出てくるようになります。
甲状腺機能低下症は症状の進行がゆっくりなので、単独で発症するとなかなか気づきにくい病気です。
一般の健康診断の血液検査では確定診断ができないため、数値に異常が出てから詳細な血液検査をすることで判明する場合が多いです。
「ちょっとおかしいな」と感じたら、詳細な血液検査を依頼してみても良いかもしれません。
甲状腺機能低下症を発症しやすい犬種は、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、ドーベルマン、アイリッシュ・セター、ボクサー、ミニチュア・シュナウザー、ポメラニアン、ビーグル、柴、ダックスフントなどで、メスの発症が多いです。
その他の病気
食欲が増える場合に考えられる病気として、糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能低下症についてお話ししてきました、
その他にも、可能性として考えられるものがあります。
幼犬の場合は、腸内の寄生虫が考えられます。
寄生虫症の症状はたいてい食欲不振で、下痢や血便が見られることが多いですが、中には過食になる場合もあります。
寄生虫は病院で便検査をして調べてもらいます。
胃の中に異物がある場合も、うまく栄養が摂れなくて過食になる場合があります。
それから非常にまれではありますが、甲状腺機能亢進症という病気もあります。
これは、甲状腺機能低下症の逆で、甲状腺ホルモンが出すぎてしまう病気です。
症状も基本的には甲状腺機能低下症の逆になりますが、食欲が増えるといった共通の症状もあります。
ワンちゃんに食欲があるのは良いことですが、異常なほどの食欲は困りものですね。
でも、それがしつけの問題やフードが合わないなどの理由なら改善できる場合もありますので、ぜひチャレンジしてみてください。
ただし病気の場合は、一生お薬を飲まなければいけない場合も多いです。
予防が難しい病気もありますので、「おかしいな」と感じたら早めに病院で診てもらいましょう。