ある日ワンちゃんの口の中にできものを発見したら、ドキッとしてしまいますよね?
「がんだったらどうしよう!」と、慌ててしまう人も多いかと思います。
今回は、犬の口の中のできものにはどんなものがあるのか、というお話しです。
口内炎とがんの違いについても、あらかじめ知っておきましょう!
犬の口のできものにはどんなものがある?
犬の口のできものには、大きく分けて次のようなものがあります。
- 悪性の口腔腫瘍(がん)
- 良性の口腔腫瘍
- 口内炎、舌炎
このほかに、口の周りにできるものとして口唇炎やニキビ、感染症などによる皮膚の異常があります。
口の中のできものは、歯磨きをする時や犬があくびをした時などに気づきやすいので、比較的早期発見ができることが多いです。
ただし、がんの場合は進行が非常に速いため、少しでも早く発見することが大切です。
実はけっこう多い!犬の口内炎・舌炎
人間でもおなじみの症状ですが、犬の場合は炎症が大きく、見ていて痛々しいくらいになることもあります。
口内炎、舌炎の症状
口内炎や舌炎は一言で言うと、口の中に炎症が起こっている状態です。
赤い発疹や水泡、潰瘍などができます。
その他に、
- 口臭が強くなる
- よだれが増える
- 何も食べていないのに口をクチャクチャさせている
- 食欲が落ちる
などの症状があります。
口内炎の原因
口の中に傷ができてそこから口内炎になったり、感染症や歯周病が原因で起こることがあります。
ただし、口内炎は内分泌系の病気や自己免疫性の疾患などに伴ってできる場合もあるので要注意です。
たとえば、
- 糖尿病
- 腎不全
- クッシング症候群
- 全身性紅斑性狼瘡
- 天疱瘡
などが挙げられます。
気になるときはお医者さんに相談もしたほうがよさそう!
早期発見のために知っておこう!犬の口腔腫瘍
最近は、犬の口の中にできる腫瘍が増えていると言われています。
良性のものであっても出血を伴ったり食べにくくなったりという症状が出るものもありますので、注意が必要です。
口腔腫瘍の種類①良性の腫瘍
口腔腫瘍には悪性のものと良性のものがあります。
まず、良性の腫瘍の代表としては、以下のようなものがあげられます。
- エプリス
- 乳頭腫
- エナメル芽細胞腫
その他の良性の腫瘍には、ウィルス性の乳頭腫や、顎部分にできる骨腫などがあります。
良性ならほっておいてよい?
この中でも最も多いのがエプリスで歯茎にしこりができるものです。
症状は悪性のものと似ていて、口臭が強くなったりよだれが増えたりします。
良性とはいえ放っておくとどんどん大きくなって骨まで到達してしまいますので、早めに病院で処置してもらう必要があります。
口腔腫瘍の種類②悪性の腫瘍
そして、やはり要注意なのは悪性腫瘍です。
悪性の腫瘍の代表には、以下のものがあります。
- 悪性黒色腫(メラノーマ)
- 上皮扁平がん
- 線維肉腫
この3つの違いは、皮膚のどの細胞ががんになるかの違いです。
- メラノーマ・・・メラニン細胞のがん
- 上皮扁平がん・・・上皮扁平細胞のがん
- 線維肉腫・・・線維芽細胞のがん
ということになります。
この中で一番多いのが悪性黒色腫(メラノーマ)で、次いで扁平上皮がんとなっています。
ぜひ、それぞれの初期症状を含めた特徴を知っておいてほしいワン!
悪性黒色腫(メラノーマ)の症状と特徴
悪性黒色腫(メラノーマ)の症状は、以下のようなケースが多いです。
- 口臭が強くなる
- よだれが増える
- 出血
腫瘍は口の中の粘膜や舌にできて、黒い色をしていることが多いです。
潰瘍ができたり、ただれたりすることもあります。
発症年齢は10歳前後で、老犬に多い症状です。
怖いのが、「進行が非常に早い」ということ。
発見した時にはすでにほかの部位に転移していることも多いです。
また、全体の80%がリンパ節に転移するとも言われています。
扁平上皮がんの症状と特徴
扁平上皮がんは全身の皮膚にできるがんです。
口腔内にできた場合の症状は他の腫瘍などと同じように、
- よだれ
- 出血
- 潰瘍
- ただれ
などが見られます。
腫瘍はカリフラワー状の赤くてかたいしこりが多いですが、中にはしこりを作らない場合もあります。
発症年齢は10歳くらいが多く、中型犬や大型犬によく見られます。
こちらも進行が非常に早く、リンパ節に転移しやすいと言われています。
線維肉腫の症状と特徴
線維肉腫は、歯茎にできる腫瘍です。
最初は1センチほどの小さなしこりですが、1カ月ほどでどんどん大きくなるのが特徴です。
しこりの見た目は良性腫瘍のエプリスに似ています。
比較的転移の少ないがんで、早期発見できれば完治する可能性もあります。
発症年齢は7〜8歳くらいで、中型犬や大型犬のオスに比較的多い傾向があります。
口腔腫瘍の原因
口腔腫瘍の原因は、それぞれの部位の細胞のがん化です。
例えば、悪性黒色腫(メラノーマ)の原因はメラニン細胞のがん化ということになります。
全てのがんに言えることですが、なぜ「がん」になるのかということに関しては明確なことは分かっていません。
ただし、
- ストレス
- 老化
- 化学物質
- 食べ物
- 紫外線
- 刺激
- 炎症
などが関係しているということが人間でも犬でも言われています。
口内炎と口腔腫瘍の見分け方
ここまで、犬の口の中の「できもの」についてお話ししてきましたが、やはり怖いのは「がん」ですよね?
口の中に異常が見られたら、早めに病院で診てもらうことが一番です。
でも、口内炎などの単なる炎症とがんの違いをある程度知っておけば、いざという時に慌てずに対処できるかと思います。
あくまで目安ではありますが、その見分け方についてこれまでのお話をまとめておきたいと思います。
①見た目の違い
口内炎は炎症ですので、口の中が赤く腫れていたり、潰瘍が見られたりします。
一方、腫瘍の場合はそれに加えて「しこり」が見られることが多いです。
しこりはこぶ状やカリフラワー状などで、それがどんどん大きくなっていきます。
また、メラノーマの場合は腫瘍が黒い色をしていることが多いので、口内炎との区別は付きやすいでしょう。
②見た目以外の症状の違い
実は、見た目以外の症状は口内炎でもがんでもよく似ていて、あまり区別がつきにくいんです。
ただし、がんの場合は老犬に多く発症するので、老犬を飼っている場合はより注意して見てあげたほうが良いでしょう。
それから、口からの出血もがんの場合に多いです。
口内炎でも出血するケースがありますが、出血がみられたらがんを疑って早めに病院で診てもらいましょう。
口の中のできものは良性であっても犬にとって悪い影響がある場合が多いです。
がんの場合は進行も非常に速いですから、定期的に検査キットで自宅で調べるのも効果的です。
また、普段から歯磨きを習慣づけて口の中を清潔に保ちながら、炎症やしこりがないかもチェックしてあげてくださいね。
ときどきチェックしてみてほしいワン!