私たち人間よりも速いスピードで成長してゆく犬たち。
小型犬は1歳前後、大型犬は2歳くらいで、もう成犬となります。
そんな犬たちには、私たち人間の約10~14倍ものカルシウムが必要だと言われています。
成長期にカルシウムが不足してしまうと、骨が弱くなったり、しびれ・筋肉の痙攣などの症状の「低カルシウム血症」を引き起こす恐れもあります。
愛するわんこのために、カルシウムを積極的にとらせたい!だから牛乳を!という飼い主さんも多いでしょう。
特にご飯を手作りにしているお家は、特に気を使うと思います。
犬が牛乳を摂取することの影響とメリット・デメリット、アレルギー反応の可能性、また代用品などについて、これから見ていきましょう。
犬に牛乳は飲ませていいのかどうか?その理由についても
犬に牛乳はおすすめしません!
いきなりですが、そうなのです。
基本的には、犬の食べ物として牛乳はあまりおすすめ出来ない食材のひとつです。
なぜなら、多くの犬は牛乳を飲んでしまうと下痢・腹痛を引き起こす可能性があるからです。
なぜ、犬に牛乳は良くないの?
牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)という成分が原因です。
乳糖は母乳に含まれており、犬も赤ちゃんの頃は母乳から乳糖を摂取しています。
しかし人間用の牛乳に含まれる乳糖よりも犬の母乳に含まれる乳糖の量は少なく、乳糖を分解するための酵素(ラクターゼ)も少ないようです。
そして、母乳を卒業して成長するに従ってその酵素は必要なくなり、徐々に数が減っていきます。
そのため、成犬は子犬よりも乳糖の分解が難しいのです。
こうして、乳糖を上手く消化出来なかった結果、下痢や腹痛を起こしてしまいます。
これを、「乳糖不耐症」といいます。
人間でも、牛乳を飲むとすぐお腹を下してしまったり、普段は大丈夫でもたくさん飲むと調子が悪くなる人がいますよね?
そう、私たち人間にも起こっているこの症状が「乳糖不耐症」です。
そして、犬は人間よりもラクターゼが少ないので、よりお腹を壊しやすいのです。
また、稀まれに牛乳アレルギーを持っている犬もいますので、注意が必要です。
犬に牛乳を与えることのメリット・デメリット
以上にさらに少し情報を加えて、今一度、犬に牛乳を与えるメリット・デメリットをまとめてみると、以下のようになります。
《メリット》
多くの犬が乳糖を分解出来ないので、積極的にあげられるメリットはあまりありません。
しかし、牛乳は栄養価が高いので、幼犬やお腹を壊さない犬に少量、または水で薄めて与えている飼い主さんもいらっしゃるようです。
《デメリット》
先にもありましたように、下痢・腹痛を起こす可能性があります。
また、他の影響として、次のことも指摘されています。
(カルシウムと薬の成分が反応して、薬が効きにくくなる場合がああるそうです)
・牛乳は高カロリーなので、太りやすい
こうしてまとめてみると、やはりデメリットのほうが多めと判断できそうですね。
犬に牛乳をあげる際の注意点!
それでも、犬に牛乳を飲ませてあげたいという場合は、次の点によーく気をつけてあげるようにしてください!
犬にも「牛乳アレルギー」ってあるの?
稀に、牛乳アレルギーを持っている犬もいます。
牛乳をはじめとした食物アレルギーの症状は、そのアレルギー原因物質を摂取することでかゆみ・下痢、ひどいときには痙攣などのアレルギー症状がみられます。
こうなると危険な場合がありますので、早急に獣医の先生に診てもらいましょう。
また、牛乳でアレルギーが起こる犬であれば、他の乳製品に関しても注意が必要です。
もしあげる場合、どのくらいなら大丈夫?
人と同じように、犬にも個体差があります。
乳製品アレルギーがなく、体内にラクターゼを多く持っている子であれば、他の犬に比べて体調を崩しにくいでしょう。
もし飲ませるのであれば、少量飲ませたら1日様子を見て、特におかしい症状がなければ少し量を増やす、というように、ゆっくり・しっかり見ていてあげましょう。
また、牛乳の冷たさでお腹を冷して壊してしまうこともありますので、常温もしくは人肌くらいに温めてあげると、犬の体に優しいですね。
しかし、他のフードなどで栄養がきちんと摂れているのであれば、積極的に牛乳を摂る必要はありません。
牛乳は加熱したら大丈夫?
乳糖は熱で分解されないため、牛乳を加熱・沸騰させても影響は変わりません。
犬が牛乳を飲んで下痢をおこした!対処法は?
犬が牛乳を飲んで具合が悪くなるとしたら、大抵は下痢です。
1回で通常便に戻れば良いのですが、何度も続いてしまう場合は脱水症状を避けるためにも獣医の先生に相談しましょう。
特に子犬や老犬の場合、体力がないので要注意です。
牛乳の替わりになる、カルシウムや栄養の摂れるものは?
うちの子は人間用の牛乳だとお腹を壊してしまうけど、栄養価の高いものを与えたい、という方。
ご安心下さい。
代用品がいろいろ販売されています。
・犬用ミルク
http://www.doggyman.com/product/?p=milk
もちろん乳糖ゼロなので、安心です。
さらに、犬の成長過程に合わせた栄養素も含まれています。
脱脂粉乳もあります。
http://www.morinyu-pet.com/product/dog-milk/
・ヤギミルク
ヤギのミルクは母乳に近い成分で出来ているためアレルギーは起こりにくく、すばやく消化管を通り抜けるため乳糖不耐症にもなりにくいようです。
また、牛乳に比べ栄養価が高く、消化を助ける成分も含まれており、病気の時の栄養補給にも良いと言われています。
・チーズ
チーズはカルシウムの他にもビタミン、タンパク質・鉄分などが豊富に含まれています。
そして心配な乳糖に関しては、加工段階で分解されてしまっているので安心です。
人間用のチーズは塩味が濃いので、味の薄いカッテージチーズやモッツァレラなどをが良いでしょう。
・ヨーグルト
ヨーグルトもチーズ同様、乳糖は分解されています。
さらに、乳酸菌が腸内環境を整える効果もあります。
☆ただし、カルシウムの摂り過ぎは多発性骨折などの障害を引き起こす可能性もあるので、禁物です!
☆また、乳製品アレルギーの場合は牛乳由来のものを与えないようにしましょう。
こうやってみると、人も犬も、同じ「生き物」なんだなあ、と改めて感じます。
牛乳を飲んで、同じようにお腹を壊したり、アレルギーになる場合があったり…
そうやって体調を崩した時、私たち人間と同じように、犬たちも「体の調子が悪くて辛いな…」と感じています。
しゃべって伝えることも出来ずに。
私たち人間が、飼い主が、個々それぞれの彼らのことを理解して正しく対処してあげることで、犬たちが毎日健康に安心して過ごしてほしいものです。