犬は人間に比べると便秘になりにくいと言われています。
それなのにワンちゃんが便秘になってしまったら、心配になってしまいますね。
この記事では、犬の便秘の原因や対処法についてお話ししていきたいと思います。
犬の便秘ってどんなもの?
皆さんはワンちゃんが1日にどれくらいウンチをしているか、把握していますか?
犬のウンチは健康のバロメーターです。
毎日の健康チェックとして、日頃からウンチの回数や量、固さ、色などをチェックしておきましょう。
さて、犬が便秘になるとはどういうことなのでしょうか?
そもそもなぜ便秘になると良くないのでしょうか?
何日ウンチが出なければ便秘なの?
人間の場合は、数日間出ないのが普通だという人も中にはいますよね?
では、犬は何日くらい出なければ便秘と言うのでしょうか?
結論から言うと・・・
「犬の便秘を3日以上放置するのは危険」です!
健康な犬は通常1日に2~3回はウンチをします。
食餌の回数とウンチの回数が同じというのが理想なんです。
何かの原因でたまたま1日だけウンチが出ないことはあるかもしれませんが、丸2日も出なければ立派な便秘です。
急性の便秘なら食餌や運動を見直すだけで改善することも多いですが、慢性の便秘だと何らかの病気が隠れている場合もあります。
便秘が5日以上続くときは腸の異常や病気の可能性があると言われます。
犬が便秘をしたら家で様子を見るのは2日くらいにして、3日以上は放置しないようにしましょう。
便秘になるとなぜ良くないの?
これは人間にも同じことが言えるのでなんとなく知っている人も多いかもしれませんが、簡単に説明しますね。
健康な腸では善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスがうまく取れています。
ところが便秘になると腸の中にウンチが溜まるので、それをエサとする悪玉菌が増殖してそのバランスが崩れて、腸内環境が悪化します。
腸内環境が悪化すると、アンモニアや硫化水素などの有害物質が発生します。
有害物質は腸の壁から吸収されて血液に入り、血液によって全身に運ばれて体に悪影響を及ぼしてしまうんです。
人間も犬も、便秘は全身の健康に影響があるんですね。
犬が便秘になる原因とその対処法
犬の便秘の原因には様々なものがあります。
日常生活の中で考えられるものには、例えば以下のようなものがあります。
・ストレス
・運動不足
・食べ物の影響
・フードが合わない
・ウンチを我慢してしまう
・腸が詰まっている(腸閉塞)
・何か病気が隠れている
これらの原因により便が腸の中に長く溜まっていると、どんどん水分が吸収されてウンチが固くなっていきます。
そうすると、余計に出にくくなって溜まってしまうという悪循環になってしまうんです。
便秘は早めに対処したほうが解消しやすいです。
一日でもウンチが出なければ便秘を疑って早めに対処していきましょう。
ここからは便秘の原因ごとに、その対処法を見ていきましょう。
水分不足による便秘
水分が不足するとウンチが固くなって大腸をうまく進めずに詰まってしまい、その結果便秘になってしまいます。
ドライフードばかり食べていてあまり水を飲まないと、水分不足になりがちです。
いつでも新鮮なお水を飲めるようにしてあげてくださいね。
あまり水を飲んでくれないときは、フードにお湯をかけたり水分の多い野菜などを一緒に食べさせるのも効果的です。
逆に水分が多すぎると下痢になる場合もあるので、ウンチの固さを見ながら調節してあげてくださいね。
それと、夏場は暑いので犬もたくさん水を飲んでくれますが、冬は水分不足になりがちです。
冬場は特に気を付けるようにしましょう。
ストレスによる便秘
腸はストレスの影響を受けやすい器官です。
ストレスを感じると、ちょっとしたことでも便秘や下痢を起こす場合があります。
環境や生活リズムの変化、運動不足、スキンシップが足りないなど、様々なことが犬のストレスになっている可能性があります。
日ごろからワンちゃんの様子をよく観察して、どんなことがストレスの原因となっているのか考えてみることも大切です。
ストレス解消の手段として、ワンちゃんのお腹をマッサージしてあげるのも良いです。
マッサージにはリラックス効果がありますし、ワンちゃんとのスキンシップにもなります。
お腹を直接刺激してあげることで腸の動きも活発になりますので、ぜひ取り入れてみてください。
マッサージする場合は、ワンちゃんのお腹の下の方を優しく円を描くようになでると良いです。
強い力で押したり、ワンちゃんが嫌がるのを無理にやらないようにしましょう。
気持ち良いと感じればワンちゃんもうっとりとした顔になってきますよ。
運動不足による便秘
運動不足による影響はストレス以外にもあります。
運動不足になると筋肉が落ちて腸の蠕動運動が弱くなり、便秘の原因となることがあります。
若い犬だと、ちょっと走り回っただけで腸が刺激されてウンチが出やすくなったりします。
お散歩の時にウンチをする子が多いのは、こう言った理由からなんですね。
生活リズムを整えるためにも、できるだけ毎日の十分な散歩や運動を欠かさないようにしましょう。
老犬の場合は筋力が弱ってしまいがちで、便秘になりやすいです。
歳をとってからも、無理のない範囲で運動の時間を作ってあげるようにしましょう。
それから、老犬は他の病気が原因で便秘になっている可能性もあります。
便秘以外に気になる症状があれば早めに病院を受診しましょう。
食べ物の影響
最初に腸内環境のお話をしましたが、腸内に悪玉菌が増えると便秘になりやすいんでしたね。
この悪玉菌は、肉などの動物性の脂肪やタンパク質を食べると増殖しやすくなります。
犬はもともと肉食なので、腸内に悪玉菌が増殖しやすいです。
便秘を防ぐためには、善玉菌を増やすために意識して食物繊維を多く摂る必要があります。
フードによっては食物繊維が十分に含まれていなかったり、安いフードは粗悪な原料を使っているものもあります。
ワンちゃんが便秘がちなときは、一度フードを変えてみるのも良いかもしれません。
フードはワンちゃんとの相性もありますので、慎重に、飼い主さんが納得のいくものを選んであげてくださいね。
野菜や海藻などの食物繊維を与える場合は、少しずつ与えて様子を見るようにしましょう。
与えすぎると逆に下痢になったり、便のカサが増えることでますます便秘になることもあります。
必要に応じて獣医さんと相談しながら与えた方が良いでしょう。
食べ物については、後からまた詳しくお話ししていきたいと思います。
ウンチを我慢してしまう
例えば、お散歩のときにしかウンチをしないという子も多いかと思います。
そういうワンちゃんの場合、ウンチをしたくても家の中では出せずに我慢してしまうこともあります。
ウンチのタイミングを逃してしまうと、ウンチが腸内に長く留まることで水分がどんどん少なくなり、固くなってしまいます。
できるだけ、朝晩の規則正しいお散歩の時間を作ってあげてくださいね。
腸が詰まっている(腸閉塞)
腸閉塞の原因の多くは誤飲です。
犬の誤飲は良く起こるので、経験したことのある飼い主さんも多いのではないでしょうか?
おもちゃ、ビニール、木片、布製品などの異物を誤って飲み込んでしまうと、それが消化器官のどこかで詰まってしまうことがあります。
飲み込んがものがどこで詰まるかによって症状は様々ですが、腸で詰まった場合に腸閉塞になります。
異物を飲み込んでから腸に届くまでには、ある程度の時間がかかります。
誤飲に気づかなかったり、しばらく様子を見て大丈夫そうだからといって放っておくと、忘れた頃に症状が出たりしますので注意が必要です。
小腸の終わりの方で詰まったりすると、症状が出るのに2日くらいかかることもあるんです。
腸閉塞のサインにはどのような症状があるのでしょうか?
初期症状として特徴的なのは、嘔吐を繰り返すことです。
犬が便秘に加えて嘔吐を繰り返す時には、腸閉塞を疑いましょう!
嘔吐以外にも、軽度から中程度の腸閉塞であれば、元気がなくなる、食欲の低下、下痢などの症状が出ることも多いです。
ただし、嘔吐を繰り返す病気は他にもあります。
消化器系の病気、肝臓や腎臓の病気、脳の病気、中毒症状など様々です。
嘔吐物の様子で原因が推測できる場合もありますので、病院を受診するときは吐いたものの状態をよく観察しておきましょう。
腸閉塞のときは消化途中のものを吐き出すため、嘔吐物には消化液が混ざっていることが多いです。
そのため、腸閉塞の時の嘔吐物は黄色や土色でドロドロしていて、臭いもきついのが特徴です。
便秘の時に考えられる病気
食餌や運動などを見直しても便秘が何日も改善しない場合は、何か他の病気が隠れている可能性もあります。
また、便秘を放っておくことで巨大結腸症やガンなどの大きな病気につながる場合もあるため、注意が必要です。
便秘が症状として現れる病気には様々なものがあります。
例えば、前立腺や子宮の病気、内分泌系の病気、寄生虫などが挙げられます。
また、肛門周りの炎症や毛の詰まりによって便が出にくくなっていることも考えられます。
病気が原因の場合は、元気がない、ぐったりしている、発熱がある、お腹を痛がるなど、便秘以外の症状が出ることが多いです。
また、血便や血尿が出たり、尿が少なかったり頻尿などの異常が出ることもあります。
このような症状があるときは早めに病院を受診しましょう。
便秘に効果のある食べ物は?
人間の場合もそうですが、便秘になった時にまずは食べ物を見直してみると良いです。
犬の便秘に効果のある食べ物にはどんなものがあるのでしょうか?
食物繊維
食物繊維は腸の中で善玉菌のエサになり、腸内環境を良くしてくれます。
また、水分をたくさん吸収するのでウンチが柔らかくなり、便秘の解消につながります。
ただし、犬はもともと肉食ですので、野菜中心の食生活にするというわけにはいきません。
普段のフードに野菜を少し加えたり、おやつとして果物を与えたりするのが良いでしょう。
発酵食品
発酵食品も便秘に効く食べ物として有名ですね。
身近なものだと、ヨーグルトに含まれるビフィズス菌や乳酸菌、納豆に含まれる納豆菌などがあります。
犬に与えやすいのは無糖のプレーンヨーグルトです。
スプーン1杯のプレーンヨーグルトを食後に与えるなどすると良いでしょう。
ただし、犬に乳製品をあげるときは少し注意が必要です。
犬は乳糖の分解が苦手なので、牛乳で下痢をしてしまう場合が多いです。
ヨーグルトは牛乳に比べて乳糖が少ないですが、念のため少しずつ様子を見ながらあげてくださいね。
犬用のサプリメント
腸内環境を改善するためのサプリメントもたくさん売られています。
サプリメントは気軽にあげられて日持ちもするので、便秘がちなワンちゃんの場合は一つ用意しておくのも良いかもしれません。
ただし、与える時には原材料などをしっかりと確認して、飼い主さんが厳選したものを与えるようにしましょう。
便秘は万病のもと
人間も犬も、便秘は万病のもとです。
いつも便秘がちなワンちゃんだと、つい油断して病気のサインを見逃してしまうこともあるかもしれません。
「しばらくすれば治るだろう」と放っておくと、後々ガンなどの重篤な病気につながることもあります。
ワンちゃんの日々のウンチのチェックをして、少しでも異変を感じたら早めに病院を受診するようにしましょう!