わんちゃんが歯周病にかかってしまい、抜歯せざるを得なくなったという話はよく聞きます。
歯周病の治療はしたのだけれど、何本も歯が無くなるととっても可愛そう…
・食欲は落ちたりするの?
・歯が無くなっても長生きできるの?
など、疑問がわいてくると思います。
今回は、歯周病などで抜歯を行った場合の食事などの注意点をまとめます。
ぜひ参考にしてみて下さいね。
歯周病で歯を抜く「抜歯」の必要性はある?
歯周病には歯肉炎から始まって、進行していくごとに現れる症状が異なります。
2、歯垢が歯石に変わる(歯垢がついてから2-3日)
3、歯と歯石の間に歯周病菌が増え、歯ぐきが赤くなる
4、歯ぐきから出血したり、口臭がする、歯ぐきが後退する
5、歯を支える骨を歯周病菌が溶かしてしまう
6、歯がぐらぐらになる、硬い食事を嫌がる
7、歯周病が原因のくしゃみや嘔吐,心臓・肝臓・腎臓へ悪影響を及ぼす
1から2までが歯肉炎と呼ばれ、3からは歯周病と呼ばれます。
いったん歯に歯石がついてしまうと、人間でも自力で取り除く事は難しいように、わんちゃんも動物病院の力を借りなければ取り除く事は不可能です。
また、歯周病は虫歯のようにズキズキと痛むわけではありません。
歯周病の症状が進行するまで、わんちゃんが飼い主に訴える事もなく、飼い主が歯周病だと気づくタイミングが遅くなってしまいます。
歯周病が進行してしまうと、歯を支える「歯槽骨」という骨が歯周病菌によって溶かされ、歯がグラグラになります。
また、歯周病菌が歯の根元を腐らせて膿を発生させる症状も出てきます。
これが口臭や歯ぐきから出血する原因となります。
グラグラになった歯は固い物を食べる際に、わんちゃんに痛みを伴わせます。
歯石が溜まった歯は、歯周病菌の最適な住みかとなって、どんどん繁殖してさらにいっそう歯周病を悪化させます。
こうなると、「溜まった歯石を綺麗にし」、「ぐらぐらになった歯を抜い」て、「歯の奥に合った膿を取り出す」処置を行うしか歯周病の治療の道はありません。
そのためには動物病院で全身麻酔をかけて「抜歯」と「歯石除去」を行います。
抜歯後の注意点その1「食事」
動物病院で抜歯をした後、気を付けて欲しいことがあります。
それは食事の内容。
飼い主の皆さんは、子供の歯の乳歯から大人の歯に生え変わる際に歯が抜けたことがあるでしょう。
その時硬い物は食べる事が出来ましたか?
残った歯で食べる事が出来たとしても、なんとなく食べづらかったり、抜けた歯の部分に食べ物が当たると痛かったりといった思い出はあるのではないでしょうか。
わんちゃんも抜歯をした後は、その部分に硬い食べ物が当たると痛くなってしまいます。
しばらくは固いドライフードは避け、缶詰などのご飯か、ドライフードをお湯でふやかして柔らかい食事をあげて下さい。
抜歯直後は口の中が今までとは違う違和感で食欲がなくなってしまうわんちゃんもいます。
そんな時は柔らかめのご飯をあげながら、様子を見てあげて下さいね。
抜歯後の注意点その2「歯みがき」
せっかく動物病院で歯周病の治療をしてもらったのだから、今後はきちんと歯みがきをして歯周病にならないようにしなくてはいけません。
今度こそ歯周病にさせないように!と張り切って抜歯直後から歯みがきをする飼い主さんもたくさんいらっしゃるのですが、そこは気を付けなければいけません。
抜歯をした歯の周辺は、膿を出しきったために歯ぐきに穴が開いていたり、歯ぐきにできた穴の傷口を糸で縫って縫合してあります。
そのため、歯ブラシでごしごし磨いてしまうと歯ぐきが腫れているので出血しやすくなっていますし、縫合箇所に歯ブラシの毛先が入り込んでしまう可能性もあります。
抜歯周辺の歯みがきは、抜歯してから1週間は様子を見ましょう。
ただし、抜歯以外の歯はこれまでよりもより丁寧に歯みがきをして、口の中を清潔に保ってくださいね。
歯周病で歯が全部なくなったら長生きできる?
【
歯周病を治療せずそのままにした場合、ほとんどの歯が腐ったように黒くなって抜けてしまいます。
歯が全てなくなっても、犬は寿命を全うする事は可能です。
本来犬の歯は、人間のように食べ物を細かく砕くといった役割はなく、ほとんど噛むといった機能を果たしません。
つまり、歯が全部なくなってしまったとしても、ドライフードも食べる事が可能です。
噛まずに飲み込んでも、犬は消化する力が強いので大丈夫。
その子がドライフード好きなら、ドライフードをふやかさずにあげてもいいかもしれません。
しかし、食べづらそうだな、食欲が無くなってしまうなどの問題点が出てくれば、ドライフードをふやかしてあげたり、缶詰を与えてあげて下さいね。
ただ、「歯周病」で歯が全部なくなって長生きできるかどうかは疑問です。
歯周病は歯の病気だけでなく、歯周病菌が心臓病や腎臓病,肝臓病などの引き金になるともいわれていますので、歯が全て抜けるまで放置していたツケが回って、全身の病気にかかる可能性があります。
歯が無くなっても元気に生きられるから大丈夫なんだと安心せず、歯周病は初期の段階で治療を行って下さいね。
それが一番の長生きの秘訣ですよ。
最後に
動物病院で全身麻酔をかけて抜歯した後は、お家でゆっくりと休ませてあげて下さいね。
慣れない環境でわんちゃんも疲れてしまっていると思います。
動物病院で働いていた時、病院内では全然しっぽを振ってくれなかった子が、飼い主さんのお迎えでブルンブルン!!としっぽを振って喜んでいた光景が思い出されます。
歯周病は、歯みがきを習慣にすれば防ぐことが可能な病気です。
わんちゃんに寂しくて痛い思いをさせないためにも、歯みがきを習慣にしてくださいね。
長い記事を読んでくださってありがとうございました。
あなたとその隣にいるわんちゃんがもっともっと両想いで幸せになりますよう、願っています!